沈黙するしかない瞬間

NHKドラマの「冬の終り」いいドラマだなと思って見てたのだけど、主人公の夫が育児に無関心である描写にはちょっと気持ちが沈んでしまった。というのも最近、学生時代の友人に会って、彼女の夫が全く家事をせず育児にも参加しないと聞いたからだ。愚痴るでもなく諦めたよう言うので、私はつい「なんで夫にもっと家事をしてほしいと言わないの?」と言ってしまい、黙った彼女を見てすぐにめちゃくちゃ後悔した。

自分も家事、育児の分担では夫と散々揉めてきた。泣きながら夜中まで話し合ったこともある。今は一応、分担しながら何とかやっている。でもそれは自分の環境(実家が近いとか、夫も私も会社員として働いてるとか)、そういう状況によって成り立っていることも理解している。

これがもし私が働いてなくて経済的な格差が大きかったら分担を言い出すのも気を使うかもしれない。言い出して夫が不機嫌になるぐらいだったら黙って自分でやればいいと思うのもわかる。何でも話し合って解決できるわけじゃない。

ユーミントリビュートストーリーズの小説で、酒井順子の解説にこんな文があった。

「結婚生活を続ける中、ただ沈黙するしかないことが日々あることを、彼女は既に知っているのです。」

これは江國香織の短編について解説した言葉だけど、これを見て少し切なくなった。私はまだ話して解決できると思っていて、夫もまたそれに答えてくれるだろうと信用している。だけど生きていたら沈黙するしかない瞬間も必ずあり、そういう時の感情を想像すると何か泣きそうになるね。